ピックアップレーサー記者コラム

弟の仁志とともに出場するボートレース界〝最強ブラザーズ〟の頼れる兄も今年で選手生活19年目を迎える。
2012年の住之江グランプリシリーズでSG初制覇を飾って一躍注目を集めると、15年の蒲郡メモリアル優勝戦ではデッドヒートの末に1号艇だった峰竜太を逆転で競り落として2度目のSG戴冠をモノにした。
G1でも7Vを飾っているが、大舞台での優勝は16年の住之江・高松宮記念を最後に快音が聞かれず、グランプリ出場もその年を最後にご無沙汰だ。

それでもグランプリシリーズには7年連続で出場しているように、地力は着実に強化してきた。
昨年は優勝こそなかったものの、びわこ71周年で優出2着、福岡70周年で同3着、SGでも平和島クラシック、住之江グランプリシリーズでともに準優勝と結果を出した。
今年はすでに4回の優勝(7月7日現在)と、きっちりと上昇気流に乗っている。

芦屋は地元水面の一つで、G1周年はこれまで6回の優出歴。
21年のオーシャンカップでは優出3着と健闘してきた得意水面だ。
当地で開催された今年2月の九州地区選手権でも準優勝。
今大会では8年ぶり、芦屋では初のG1制覇を決めれば、久しぶりにグランプリ復帰が見えてくる。

〝ディフェンディングチャンピオン〟が牙を研ぐ。
10年前の2014年、平和島グランプリ優勝戦で6コースから切れ味鋭い異次元ターンでファンを大いに沸かせて見事に黄金のヘルメットをゲット。
SGタイトルホルダーに名を連ねた茅原も今年で37歳。
常に優勝候補に挙がるレーサーとなり脂ものってきた。

昨年はSG8大会すべてに出場の〝皆勤賞〟。
さらに平和島クラシック(3着)、徳山グランドチャンピオン(5着)、児島オーシャンカップ(4着)、蒲郡ダービー(5着)、三国チャレンジカップ(3着)と高いレベルで結果を出し続けた。
年末の住之江グランプリは優出4着で2度目の黄金のヘルメット戴冠は叶わなかったが、前人未到の年間SG6優出を果たしてボートの歴史に名を刻み込んだ。
G1でも7優出して2Vと活況で、昨年12月の芦屋71周年のディフェンディングチャンピオンでもある。

今年もSG3大会に出場し、6月の尼崎グランドチャンピオンではドリーム戦1号艇に選出され期待に応えて快勝した。
しかし2日目にコンマ03のフライング。
悪い流れを断ち切るには今大会で、ただひとり挑戦権のある〝周年連覇〟を成し遂げるのみ。
大会2日目の全日本ドリームにも選出されており、その一戦を制して優勝争いを優位に進めたいところ。
状況を好転させ、下半期も異次元ターンでファンを魅了して、賞金バトルに食らいつく。

関東をけん引するエースは今年で40歳。不惑を迎え、ますます充実のレーサーキャリアを重ねている。

2024年のSG開幕戦となった3月の戸田クラシックでは、10メートルの強風が吹いたファイナルで絶品の2コース差しを決めて3年3カ月ぶりとなる自身8度目のSG制覇を飾ってみせた。
続く5月の多摩川オールスターでもベスト6入り(4着)と好ペースを刻んでいる。
ナイターSG6冠で〝ナイターキング〟と呼ばれるが、デー開催ももちろん強い。

6月に入ってからはG1とSG合わせて3節走ってファイナル進出こそ叶わなかったが、しっかり予選は突破。
今年の賞金ランキングのトップを快走する。

芦屋は22年1月の69周年で3コースから差し切ってVを達成しており、歴代覇者に名を刻む。
当地SGで優勝こそないが、18年チャレンジカップで優出3着があり、水面との相性もなんら問題はないだろう。
今シリーズも持ち前の旋回力を、いかんなく発揮してくるはずだ。

デビューから21年、悲願のグランプリ制覇へ、ペースを落としたくない24年の後半戦。
3大会ぶりの芦屋周年Vを成し遂げて賞金ランキングもがっちり首位固めといきたい。

人気、実力ともに文句なし。
ボート界〝最高峰〟の存在だ。
SG通算は6V。
実績でいえばもっと上はいるが、そんな実績では計れない強さと影響力を持つ。
彼の成し遂げた偉業は周知のとおりだが、そこには笑顔あり、涙あり、ドラマあり…。
そんな部分にファンは共感するのだろう。

最強レーサーとしてトップに君臨する中、一昨年2月の4カ月の出場停止処分を受けてSG、G1の舞台から姿を消した。
B1級から再出発。
そんな雌伏の時を経て、再びSGの舞台に帰ってきた昨年10月の蒲郡ダービーで復帰即V。
誰よりも勝利の女神に愛される男なのだ。

今年は1月の浜名湖70周年、2月の芦屋九州地区選手権でG1を2V。
不良航法を取られて予選落ちとなった先月の尼崎グランドチャンピオンを含めてSG戦線では結果を出せていないが、それで評価が下がることは決してない。
愛弟子の定松勇樹が多摩川オールスターでSG初優出初Vを飾ったことで〝やる気スイッチ〟も入った。

芦屋は前述の九州地区選を含めG1を6Vと地元以上の強さを誇っており、全24場で最も相性がいい水面だ。
抜群のパフォーマンスを発揮できる水面で、どんな走りをみせるのか。
今から楽しみでならない。

今年こそ悲願の地元G1初優勝を飾ってみせる。
2022年に125勝を挙げて最多勝利選手を初受賞、さらに年間10Vと全国で大ブレークすると昨年は11月の常滑ダイヤモンドカップでG1初V。
大活躍の〝原動力〟は21年4月に入籍(結婚式は一年後)して生涯の伴侶を得たこと。
当時、感想を聞くと「心身ともに充実しています」と笑顔で振り返っていた。

今年は1月の下関69周年(6着)、2月の芦屋・九州地区選手権(3着)でG1を2場所連続優出。
6月の唐津・ウエスタンヤングでは6コースから自身初のチルト3度の伸び仕様で豪快にまくり快勝。
大きな武器を手に入れ、レースの幅が広がった。

芦屋は〝純地元水面〟で初出走、初1着、初優勝。
さらに2022年7月のモーターボート大賞でG2初Vを飾っており「芦屋は昔、フレッシュルーキーをやらせてもらっていたし地元なので一番走っているレース場」と当然ながらイメージはいい。

小学校時代(福岡県飯塚市庄内小学校)は野球で日本一に輝き、さらに「香港であった世界大会でも優勝した」。
9番、外野手としてレギュラーでチームに貢献したが、そんな抜群の運動神経はボートでもしっかりと生きている。

ちなみに名前の〝航〟は『どんな困難にも打ち勝っていけるような子になってほしいという願いをこめて名づける人が多い』という。
ボート界の〝荒波〟を乗り越え、地元G1初制覇へたどり着いてみせる。

2017年10月の大村65周年で〝平成生まれ初のG1覇者〟に輝いた次世代のエース候補は、その後も地に足をつけて着実に成長を続けてきた。

23年3月の芦屋70周年ではファイナルに1号艇で臨みながらも痛恨のフライング。
同年5月の当地オールスター出場を果たせなかったものの、そんな挫折も乗り越えて同年7月の児島オーシャンカップで待望の初SGタイトルをつかみ獲った。
そこには技術的にも精神的にもさらにタフになった羽野がいた。

芦屋はデビュー以来、最も多くレースを経験してきたホームプールだ。
16年7月にデビュー初Vを飾り、昨年の正月とゴールデンウイーク開催を制するなど、これまで5度の優勝を数える。

年回8Vを決めた昨年から一転、今年は7月初めの段階で優勝がなくSG戦線でも苦戦が続いているが、4月の児島72周年でファイナルに名を連ねる(3着)など、きっかけ一つで答えを出せる地力があるのは間違いない。
それだけに勝手知ったる水面で浮上の足掛かりをつかみたいところだ。
20代ラストイヤー、反撃を誓う24年後半戦へ向けて、70周年で獲り逃した〝頂点〟を今度こそつかみ、復活のノロシを上げる。