ピックアップレーサー記者コラム

 シリーズの絶対軸が遠藤エミであることを疑う者はほとんどいないだろう。2022年の大村ボートレースクラシックをはじめ、2017年の大村クイーンズクライマックスやレディースチャンピオン(2021年浜名湖・2023年津・2024年福岡)など華々しい記念優勝歴に加え、地元びわこではV4と実績を積み重ねている。また、2024年は三浦永理とともにSGグランプリシリーズ戦出場を決め、女子第一人者としての存在感を示したが、本人は「もっとうまくなりたい」「期待に応えられる選手になりたい」という。目指す先に終着点はないのだ。

 そんな果てなき未来に立ち向かう新年の第一歩が地元オールレディース。絶好の舞台を与えられたといっていいだろう。

 びわこなら当然コース不問。過去3年間(2021年12月~2024年11月)のびわこコース別1着率は以下のとおりとなっている。
1コース 73.0%(3連対率92.1%)
2コース 30.0%(3連対率80.0%)
3コース 12.5%(3連対率62.4%)
4コース 19.0%(3連対率57.0%)
5コース 12.5%(3連対率68.7%)
6コース 13.3%(3連対率46.5%)
…参考としたいデータである。

 女子レーサー人気の頂点に立つ守屋美穂のレースはメリハリが利いている。その象徴が、一般的に難しいといわれている2コース戦だ。今年1月1日から12月15日までのコース別成績(全国)は以下のとおりとなっている。

1コース 1着率78.9%(3連対率94.6%)
2コース 1着率42.8%(3連対率85.5%)
3コース 1着率24.2%(3連対率75.7%)
4コース 1着率16.6%(3連対率74.9%)
5コース 1着率 3.7%(3連対率59.2%)
6コース 1着率 6.4%(3連対率41.8%)
…2コースの強さは圧倒的であり、イン選手の脅威となっていることが分かる数値だ。

 その2コース戦は攻め中心。決して差し一本ではない。むしろ「直(じか)まくり」が多く、外側艇にも仕事をさせない威力ある旋回が持ち味。このシリーズも同様となること請け合いである。

G2タイトルを4つ(2018年芦屋レディースチャレンジカップ・2019年芦屋MB大賞・2022年桐生レディースオールスター・2024年宮島レディースオールスター)もつ女子精鋭が、G1以上の記念タイトル奪取を期しスタートダッシュをはかる舞台、それがこのシリーズだ。

 「自分はあまり感激しないタイプですが、ファンの皆さんが驚いたり感動してくれたりするととてもうれしいです」。
 2020年、浜名湖で開催されたプレミアムG1クイーンズクライマックスで優勝を果たした平高奈菜は、表彰セレモニーでこう語った。レーサーとしてのモチベーションは「他者にある」というのである。心の矢印が自らに向いていないため、誰に対しても、どういう状況でも平静でいられるのが平高奈菜。それはとりもなおさず勝負強さの秘訣といってもいいだろう。

 2025年の優勝は、11月の三国オールレディース(シリーズリーダーとしてイン逃げ)のみだが、年間を通じ着実に勝率を積み重ねたことで2025年前期は3期ぶりのA1復帰を決めている。その背景にある「粘り強い走り」は接戦になればなるほど発揮されることになる。
 この大会はA1復帰の初戦。活躍の第一歩を記すことができれば、勢いに乗っていくことができるだろう。ターンマークの移動によりインが利くようになったとはいえ、うねりが入る難しい水面だけにファンをあっと言わせるようなレースに期待したい。
 これまで優勝歴のないびわこに、新たな感動の記憶を残してくれるはずだ。

 2024年、とうとう藤原菜希が開花した。空手の世界チャンピオンとしての期待される一方、競技性の違いにとまどうことがあったのも事実。艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越え、選手生活14年目にしてクイーンズクライマックスに名乗りをあげたのだった。

 2024年は13優出3優勝(4月福岡ヴィーナスシリーズ、4月唐津オールレディース、9月江戸川W優勝戦)としたが、そのすべてがトップスタートから主導権を握るレース。時に、「スタートには自信をもっています」と語ることがあるように、最大の持ち味は速攻力。一発で決める勝負強さは秀逸というほかない。

 そして、もう一つ大切な技量がある。ターン力だ。「休みの練習では、奥まで踏み込んでからハンドルを入れるように心掛けてきた」のだ。ボートを徐々に向けるのではなく鋭く返し、あとはレバーで操る旋回技術である。
それが、3コース1着率26.3%や5コース1着率26.6%(ともに2024年1月1日~2024年12月15日)となって表れているのだ。

 戦いの舞台びわこはうねりのある難水面だが、地元江戸川で波風には慣れており十分対応できるはず。一撃で相手を仕留める勢いあるレースに期待したい。

 十人十色というが、實森美祐のレースには華がある。観る者を感動にいざなう「迫力と美しさの融合」といってもいいだろう。言い換えれば、小気味いい攻守の切り替えが光るのだ。

 その象徴が2022年8月のプレミアムG1レディースチャンピオン(丸亀)だったが、惜しくも優勝戦でフライング(インからコンマ06のスリットオーバー)を切り、記念戦線から遠ざかることになってしまった。日の出の勢いだっただけに、応援していた多くのファンが心を痛めたものだった。

 しかし、雌伏の時を経てなお、その魅力は変わっていない。いやそれどころか、心技体が強化されたといってもいいだろう。2025年前期は勝率6.63で6期ぶりのA1復帰を果たしているが、対象期間の1着率は27.6%と極めて高い。ちなみに、2連対率は47.1%、3連対率に至っては64.9%と舟券貢献度は高まる一方なのである。

 そのレースは進入からオールマイティでコース不問だが、とりわけ注目したいのが3コース戦。ずば抜けた判断力と展開力を駆使しダイナミックな展開を演出。レースに強烈なアクセントを与えるからだ。3回に1回は1着を奪取するのが實森美祐の3コース戦。注目したい。

 2019年5月に住之江でデビューした124期の高憧四季は2023年後期に勝率6.20で初めてA1に昇格した。加速感満点のレースは、一瞬他艇が止まっているような印象さえ与えるほど。その魅力を多くのファンが知っている。

 ただ、その後の級別はB1(2024年前期)→A2(2024年後期)→B1(2025年前期)。期待が大きい分、応援の声はますます高まっている。

 というのも、今年11月上旬に開催された常滑の「創刊70周年記念 第35回中日スポーツ銀杯争奪戦」でインを守り切り、自身2回目の優勝を飾っているからだ。それも、オール2連対の快挙だった。

2023年3月、下関のヴィーナスシリーズで初優勝を飾った際、「自分に関わるすべてに感謝しかありません。過去の優勝戦で失敗した経験を活かせたと思います。この経験を忘れず皆さんに応援してもらえるレーサーになりたいです」とメッセージを発信。「沢山のご声援本当にありがとうございました」と感謝を表した高憧四季。三度、歓喜に浸るシリーズとすべく、びわこ水面を滑走することだろう。得意コースはインとセンターだ。その一挙手一投足に注目したい。

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