開設72周年記念 びわこ大賞
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ピックアップレーサー記者コラム

ボートレース界を代表するナイスガイ、馬場貴也は8月6日現在、賞金ランキングを4位としている。2024年はここまで、びわこタイトル戦(1月8日、イン逃げ)、とこなめタイトル戦(2月29日、イン逃げ)、住之江周年記念(6月5日、イン逃げ)で優勝。多摩川のSGボートレースオールスターでは優勝戦2着に入るなど、堅調といっていいだろう。

びわこは、2020年8月の周年記念を含みV18。守田俊介のV27には及ばないが、地元では圧倒的に強く、紛れもない優勝候補である。

その強さは、コースを問わない点にある。過去1年間(2023年8月1日~2024年7月31日)のデータは以下のとおりだ。
1コース:1着率84.3%、3連対率88.9%
2コース:1着率23.8%、3連対率71.4%
3コース:1着率20.4%、3連対率69.2%
4コース:1着率12.5%、3連対率68.7%
5コース:1着率21.9%、3連対率60.8%
6コース:1着率 3.2%、3連対率35.3%

どこからでも勝負できるスピードとテクニックを誇っているのが馬場貴也。多くのSG常連レーサーが「芸術的でマネができない」と舌を巻く、超高速ターンでびわこ水面を席巻する日が近づいている。

「ほんとうの強さを求めたい」。

峰竜太は2024年春先にこう語っている。

2024年前期を含め、11度も達成している期別勝率トップなどの数字に表れない何かを渇望しているというのだ。そのヒントは、自身が発したこんな言葉にある。

「長所というのは勝手に伸びていくもの。それは放っておいても大丈夫なんですよ。でも、短所は違う。そこを直そうとするときついから、どうしても逃げてしまいやすい。だから、どんどんどんどんそこに向けて立ち向かっていかないといけないと思うんです。逃げないっていうのはすごい大事なことだと思っています」。

2004年11月に唐津でデビューし、やがて満20年。SGV6、G1V19、通算V102、2024年後期を含め19期連続勝率8点台という金字塔を打ち立てながらの発言は哲学的で重い。

「年齢とともに、スピードにもテクニックにも衰えが出始めている自覚があります」と言いつつ、2024年は浜名湖周年(1月30日、イン逃げ)と芦屋九州地区選手権(2月9日、イン逃げ)を制し、8月6日現在の賞金ランキングは10位。心身の変化を真正面から受けとめ、足りない部分を補い続けようとしている峰竜太が、2021年10月以来のびわこ周年Vにまい進する。

「いろんなことをやってみて、可能性を試してみたい…」。

土屋智則は、かつてこう語ったことがある。

固定的なスタイルを持たず、状況に応じ反応する応用力を探し求めてきたと言っていいだろう。表現を変えれば、自由度の高い遊び心の持ち主である。

その発想がもたらした成果のひとつが、2023年3月の平和島ボートレースクラシックV。機力をいかんなく引き出し、シリーズリーダーとして初のSGタイトルを手にすると、「今まで走ってきた中で一番お客さんが多かった。こんな大きな声援の中で勝ててすごくうれしいです」と周囲に語っている。

そして、その志向が確かなものであることを証明したのが、今年6月の尼崎グランドチャンピオン。やはりここでも、シリーズリーダーとしてファイナル1号艇をゲット。イン逃げで勝利すると、「自分を信じ全速でいけた最高のスタートでした。差されることはないだろうと思っていました」と回顧。大舞台でこそ鍛えられるメンタルを手にしたのだった。

8月6日現在、賞金ランキングを第5位とし、年末のグランプリ出場をほぼ確定的にしているが、現状をヨシとするようなタイプではない。「いろんなことをやってみて、可能性を試す」試行錯誤が続くことだろう。びわこ周年初Vを賭けて…。

瓜生正義が代表を務める選手会のはじまりは、昭和28年12月。大村でボートレースが発祥した昭和27年4月6日から、1年半ほど経過した頃のことである。

その後、さまざまな経緯を経て、現在の「公益社団法人 日本モーターボート選手会」(2013年4月、内閣府認可)となっているが、「公益」という言葉が示すように、継続的な社会貢献事業や公益事業をおこなう団体である。「正義の人」瓜生正義は、その代表として、ボートレーサー1601人を束ねている。

名は体を表すというが、まさにそのとおり。パンチ力あるキレイなレースで、SGV11(内、グランプリV2)、G1V21、通算V90を達成。48歳となった今もなお、躍動し続けているボートレーサーの顔である。

2024年は、びわこ一般戦(3月19日、イン逃げ)と住之江周年記念(3月29日、イン逃げ)を制し、賞金ランキングは8月6日現在14位。秋の訪れを告げるびわこ周年記念の活躍が、年末への道筋を明確にしてくれるはず。3月のびわこ一般戦Vのイメージを生かし、難しさのあるびわこ水面を乗りこなすシーンに期待していいだろう。

その際、注視したいのが3コースと5コース。華麗なまくり差しで観る者を歓喜に誘うシーンが期待できるはず。注目したい。

ボートレース界最高峰の戦いグランプリの第1回大会は1986年。トライアルは12名による2日制だった。それが3日制となったのは1993年の第8回大会から。さらに、2014年には18名制に制度変更され、現在に至っている。

石野貴之はその2014年以降の9大会で6度優出。2019年と昨2023年に黄金のヘルメットをかぶり、MVPに2度輝いた栄光の人である。

翌年2月の優秀選手表彰式典の席上、「機力的に申し分のない時でも調整を変えるのは、もっと良くなる見通しがあるから。可能性がある限り恐れず挑戦します」「だからこそ好不調の波があるのが自分。結果が出ていない時でもあきらめていません」と発言。頂点に立ちながらも、チャレンジャーであり続ける意志の人だ。

2024年の優勝は丸亀一般戦(2月25日、イン逃げ)どまりとなっているが、びわこは2010年12月の近畿ダービーと2014年の秩父宮妃記念(G2)を制しており、相性はいい。

波に乗れば手がつけられない石野貴之の攻勢が予感されるが、注目したいのは、過去1年間(2023年8月1日~2024年7月31日)の1着率が26.6%(3連対率は66.6%)ある2コース戦。難しいコースなだけに注視したい。

業界をつくるのは、お客様やファンである。西山貴浩は、そのことをよく知っている人物である。
「ボートレースを楽しんでもらいたい」「期待に応えたい」と一心に願うプロフェッショナルの言動には、面白味があり洒落も利いている。それでいてレースは実直。イン戦で敗れ「1号艇で負けるわけにはいかない…」と、幾度目をはらしたことだろうか。責任感の表れである。

「ニシヤマを見よう!」と、ヤング世代がレース場に集ってくるわけがそこにある。

2024年はここまで、唐津ダイヤモンドカップ(3月31日、イン逃げ)と若松一般戦(7月9日、イン逃げ)で優勝し、8月6日現在の賞金ランキングは15位とまずまずだが、8月初旬の芦屋周年記念でフライングを切ってしまったのが懸念材料。また、びわこは過去優勝歴がなく、過去5年間(2019年8月1日~2024年7月31日)のびわこ勝率も6.25と決して高くないだけに、そこを何で補うのかが注目されるところだ。

どういう枠番がどういう順番で回ってくるのか、現時点ではまったく分からないが、浮沈のカギを握るのは3コース戦。過去1年間(2023年8月1日~2024年7月31日)の1着率が14.2%、3連対率は63.1%に及ぶ成績の背景には、スピードを維持した握りマイがある。その動向に注目したい。